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私立薊河学園

第12章 秀徳ご乱心!!


「先程から何やら話されていたようですが、何を話していたのですか?」

「休憩は終・わ・り」


語尾にハートマークがつきそうな笑顔で龍平は龍司に思い切りボトルを投げた。慌ててキャッチする。


「…わかりましたよ。お仕事頑張ってくださいね。」

「……龍平くん…ファイト」

「さっさといけ!!!」


イライラが募りボトルを握りつぶさないよう必死でたえる龍平。

緑間はそんな龍平の肩にソッと手を添えた。


「あわれむな!」


部活中に今日一番の声が響きわたる午後五時半。




※※※※※※




「お兄ちゃん達っ!!帰ろ帰ろっ!早く帰ろっ!緑間がマジバでおごってくれるって!!」

「あ、俺はおごりを好まないので結構です」

「…お腹すいてない」

「お兄ちゃんズ達テンション低っ!?」


ゲラゲラ笑う高尾をよそにいつものことなので龍平はうーんとうなる。


「ならさ、何も食べなくて良いし自腹でいいからマジバいこーよ!」

「マジバのメニューにどれほどの体に害を与える物が入っているか知っていますか?」


ニッコリ微笑む龍司と皆の間に流れた冷たい風。二度と温まることはないだろう。


「え~!龍也お兄ちゃんも行かないの?」

「…龍司くん、一人は可哀想だよ………?」

「僕らがついていく必要はありますか?いくら同じ時に三人一緒に産まれたからといえその後の人生をともにする意味も理由もないと思うのですが。」


そんなにマジバが嫌な理由、今ここで五十字以内で簡単にまとめていただきたい所存。


「……あ、今日の家の晩ご飯カレーだから、お腹すかせておきたいんだね。龍司くんはカレー大好きだから」


龍也の一言で、世界が静止した。


「さてさて。行きましょうか。マジバへ。」


笑顔で我が弟の頭を鷲掴みにしてギリギリと力を入れる。


「あ、うぅあ……!!」


その声を最後に龍也は黙ってリアカーに乗せられたのでした。
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