第11章 あぁ忙しき君
「あー、手品のタネ?俺手品でビックリしたことないからわかんなーい」
「えぇ!?」
もはやスリーオンスリーなどどうでもよくなってきた。
「なんか俺の目は特殊なんだって。チームのコーチが第六感が優れてるとか言ってた。360度見えてるみたいにさぁ。全部見えるっつーか……
そこに何かあると感じて、イメージを頭の中で無意識に作り出してるから360度見えてる感覚になる…らしいよ。コーチ曰わく」
「それでミスディレクションが通用しなかったわけか………」
三船は物心ついたときから周りがよく見えていたので驚かれるのはあまり好きではなかった。
「なぁ、三船ってどこのチームにいるんだ?」
日向が聞くと、三船はチラリと時計を見て
「あー!ごめん図書委員の時間だー!」
と言い、荷物をまとめだした。
「あぁぁ忘れてたぁ着替える時間ないぃ…!ごめんね!部活より委員会優先ってこないだ生徒会に怒られたんだったあ…!
掛け持ちやりすぎで風紀委員からも目をつけられてるしさ…あ、俺と交代で振旗くん帰ってくるから!
あんま部活の時間に仕事入れたくなかったんだけど…ああやばい!んじゃあね!」
なんと多忙なのだろう言い終えると風のように走り去ってしまった。
「……あいつって確か、放送部と奉仕部の部長で図書委員の委員長だよな。何でそんなに掛け持ちするんだ?」
「風紀委員では危険人物トップ10にランクインしてるんだよな…。髪の色は生まれつきって言ってるけど誰も信じてないし。
でも成績はいいし校則違反も特にないんだよ。不思議だな。」
「委員会中にその事について一度だけきいたことがあるんですけど……頼まれたことは断れないらしいんです。それで中学のとき散々な目にあったと言っていました。」
黒子の言葉に水戸部は納得した。掃除時間中、掃除当番でもないのに掃除をしていたのはそのためか、と。