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私立薊河学園

第11章 あぁ忙しき君


「ポジション……んー…まだ決まってない。」

「え、どういうこと?」

「なんか……これっ!って当てはまるしっくりくるポジションなくて…」


三船はアハハと苦笑いしながらごまかした。




※※※※※※




「じゃあ始めるわよー。」


高らかな笛の音でスリーオンスリーが始まる。水戸部と火神のジャンプボール。

背の高い火神がボールを拾う。


「黒子っ!」


火神が黒子にパスをしようとするが…


「もーらい。」


難なく三船がパスカット。


「なっ!」

「いやバレバレ。え、今なんか作戦とか戦略とかそういうやつ!?」


バスケ部は驚愕した。普通なら黒子の存在に気づかずパスカットなどできないはず。なのに三船はそつなくやってこなせた。

その後も黒子がパスの軌道を変えようとするも飛び込んできて軌道を元に戻したりと全く動じない。

三船のパスカットのタイミングが少しずれてはいるが黒子のミスディレクションは通用しなかった。


「…っかしーな。」

「?どうした三船」

「何か…スゲーやりにくいんだけど。パスカット。」


タイミングがずれることを不審に思い、三船が眼鏡をサッとはずしてかけ直す。


「ね、黒子くんのマークついていい?俺、今日はポイントガードの日かもしれない」

「なんだよそれ…別にいいぜ。」


水戸部もコクコクと頷く。それを見て伊月が黒子達を集める。


「三船……厄介だな。相手してどうだ?」

「…なんか、僕が見えてるみたいなんです。日頃から僕が影を薄いことなんて全く関係ないようで…」

「ミスディレクションに慣れたって感じでもねぇし…」

「ていうかあれはずーっとミスディレクションに万全の対策をしてましたって感じだよ。正直やりにくい。」


苦虫を噛み潰したような顔をした3人は再びバラけてスリーオンスリーを開始。三船が黒子のマークにつく。


「ミスディレクション」

「…!」

「それが君の必殺技…だね。」


三船は薄く笑った。


「で、ミスディレクションって何?」


黒子は埴輪のように口と目を丸くした。
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