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私立薊河学園

第10章 合宿で


「うーみうみでプカプカ~!泳ぎーたいのぉー!浮き輪をぉ、うかぁべてぇー。波にぃなってぇ~あなたのぉ元へぇ~ララララ~。」

「うるっせぇよ!十秒黙れ!いや永遠にその口閉じてやろうかっ!?」


我慢できずに蒼井田がパス練中に大声で歌い出した山西に注意する。

親睦を深めるために一軍は沖縄チームとペアを組んでいるのだ。


「えー、普通にパスしたって面倒くさいし楽しくないじゃん?」

「だから歌うってのか!?」

「あっははー!ならこれでもくらえっ!スーパーメガトンファイアーアイススモールビッグダブルトリプルスペシャルアターーック!」

「いや待てーーーーーっ!氷か火かどっちだ!小さいのか大きいのか!?二つなのか三つなのかどれだーーーーーーーーっ!!!」


蒼井田のツッコミが炸裂。しかし山西が投げたのは普通のパス……………ではなかった。


「お…?」


ボールは蒼井田の手をはねて地面へ落ちた。


「蒼井田くん、パス練でボール落とすとか論外だよ」

「いや…何か変だったんだよ今のパス!」

「何が。ただの遅いパスじゃない。」


リチャードは冷たく言うと、自分のパス練へと戻った。


(…今、失速した……?)


確かに山西は思い切り振りかぶってボールを投げた。なのに普通に投げたボールよりも遅かったのだ。

遅いのに軌道はしっかりしていた。綺麗な放物線を描き自分の元へ来た。


「なぁ、今のスーパーメガトンファイアーアイススモールビッグダブルトリプルスペシャルアタックって何なんだ?」

「えーっと…スーパー…なんとかはね」

「名前覚えてないのかよっ!!」

「うるさいなっ!逆に何で覚えてんの!?」


意外と相性がいいのかもしれない。2人はギャーギャー言いながらもパス練を楽しんでいた。
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