第6章 薊河バスケ部
「俺は長谷川の言ってる意味がよくわからないな。何で美音がキャプテンか、だよね」
リチャードはうーん、とうなり少ししてポンと手をたたいた。
「なら、美音以外の一軍がキャプテンだった場合を考えてみようか。」
蒼井田の場合
「久々に部活来たぜ」
「いやさぼってんじゃねぇよ!」
「まず蒼井田くんは部活に来ない」
「なるほど」
奈木の場合
「あっはは、二軍って楽しそう。僕も行きたいなー。」
「お前は何する気だよ…」
「奈木は怖すぎる。副部長がピッタリ。ね?」
「確かに…」
リチャードの場合
「今日もしっかりやろ?ね?頑張ろ?」
「……何かムカつくぞ」
「これはよく言われることで、俺は後輩に甘いらしい。」
「はぁ…」
(僕の愚痴を聞くだけ優しいことには気づかないのか)
長谷川は優しすぎる前に天然が最大の理由ではないのかと考えた。
「美音はよくやってると思うよ。確かに向いてないのかもしれない。でも部内のトッププレイヤーだし、決まったとき誰も異論はださなかったよ。
そうそう、どこかの誰かさんは大喧嘩してたっけ?」
チラリと木陰を見るリチャード。人気のない所でしゃべっていたので、誰もいないはずだが…
「っせぇ。つぅか休憩終わんぞボケ」
「ボケってゆうなし。」
「きもいしゃべりかとすんな。てめぇらサボるとか他の奴らにしめしつかねぇだろ」
あれ、意外と向いてるかも?と長谷川とチャードは顔を見合わせてクスリと笑った。