第6章 薊河バスケ部
二軍は一軍と三軍から遠くはなれたところにいたという。
なので立ち止まって説教をするには十分だった。
「てめぇらホントいい加減にしろよ…!同じチームなんだよ!もっと仲良くできねぇのか!!」
「八乙女さん!俺仲良くしよぅ思てます!でもこいつが…!」
「そっくりそのままかえす」
「お待ち三軍に落とすぞ……!!!」
八乙女が本気で怒っているということに気づいた二軍はピシッと姿勢を正した。
(何で僕まで!?)
長谷川は不服だったが。
「次に喧嘩したら監督に言いつけるからな…!ったく、一軍と三軍を待ってる間に頭冷やしとけ。」
「八乙女」
一歩、前に出た者がいた。藤木平助だ。
「…あんな遅い奴ら待っていたくない、だから走りたい」
「相変わらず敬語使わねえなお前…。藤木、一番協調性ないんだから努力しろよ?」
「協調性?」
藤木は一気に顔をしかめた。不快でならないというように。
「…あっそ」
しかし納得はしたようで、大人しく引き下がった。
「堅苦しいことこのうえないわ!もっと自由にさせてくれてもええやないかぁぁ…!」
八乙女に聞こえない程度の声で左雨は反論する。
これ以上怒らせてはいけないということを知っているからだ。
『美音は怒らせるな』
一度だけリチャードに言われたことがあった。
だからこそストレスは溜まる。
(…悪循環ね。この人、部長むいてないや)
と長谷川が考えていると一軍と三軍が追いついたので、ランニングが再開された。
「美音、怒ってなかった?」
「…なぜあの人はキャプテン何ですか?」
「………質問に答えてよ」
ランニングを終えた休憩時間にリチャードと長谷川はしゃべっていた。