第2章 そんな君が大好き!(銀時夢)
(よぉーし!お土産にケーキ買ったし、早く行こっ!)
甘党の彼氏宛てのケーキを片手にルンルン気分で足早に歩く
(ちょっと遅くなっちゃったけど、大丈夫だよね)
はやる気持ちを抑えながら万事屋に向かっているときだった
向かいから走ってくる男の子が盛大に転んだ
「!!!大丈夫っ?」
走り寄り、服に付いた汚れを払ってあげると、ポロポロと泣き出してしまった
「どこか痛いの?」
そう尋ねると、ふるふると首を振って指を指した
「…おまんじゅう、」
指差した先には泥まみれになったお饅頭が転がっていた
「あ…落としちゃったんだね」
どうみても食べられない状態なのは明らかだった
「おかあに頼まれて、だけど……」
ポロポロと止まらない涙を手拭いで拭いてあげる
「んじゃあ、これ君にあげる!」
そう言って、ケーキの箱を差し出した
「で、でもそれ…おねえちゃんの…」
不安げに見つめてくる男の子に、にっこり笑った
「いいの、元々ひとりで食べる予定だったから!」
「でも…」
「いいのいいの。ね?今度は転ばないようにね!」
ぐしっと自分で涙を拭うとにっこり笑ってくれた
「おねえちゃん、ほんとうにありがと!またね!」
「うん、気をつけてね!」
男の子が歩いてく後ろ姿を見つめていると、後ろからポンと頭に手を置かれた
「っ!銀ちゃん!」
振り向くと大好きな彼がすぐ後ろに立っていた
「がおせーから迎えに来ちまった」
頭を撫でられ、すごく愛おしくなる
「ごめんね、ありがとう」
ふいに右手を掴まれ、歩き出す
万事屋とは逆方向に――――
「あれ、銀ちゃん?どこ行く...」
「そういやうち、甘いモンがきらしてんだった。ケーキでも買ってやるから行くぞ」
そう言って並んで歩く
嬉しくなって私は銀ちゃんに抱きついた
end
(そんな優しいに惚れたんだ)