第4章 こんな暗闇でもたまには優しい
「……私の癒しアイテムが」
がっくりとうなだれる私に研磨くんはぽつりとつぶやいた。
「みんな、飲んでたよ」
「うそぉ!?」
きっと私の分はもうなくなっているだろう。女子の部屋は男子部屋とは違う場所にあるというのにどうしたことだろう。その疑問に答えるように研磨君は言う。
「クロが必要なもの咲の代わりに取ってきてほしいって頼まれたって言って持ってきた」
その言葉に私は歯がみする。確かに衣料品とは別のリュックに全て入れてきていた。すべて読まれていたのか。黒尾をにらみつけると彼は肩をすくめる。
「オレをあざむこうなんざ100年はえーっつーの」
「……不覚!」
きっと私の秘蔵のペットボトルはみんなにのまれてしまっただろう。慌ただしいひと時の唯一の癒しだったのに。しょげてしまった私を見て研磨くんは持っていたペットボトルを差し出す。
「飲む?」