第10章 初めての……
「!!……?」
(イリスちゃん?泣いてるの!?)
真っ暗な中イリスの声だけが響く
(……っとにもう…どこが怒りっぽいんだか……)
グレイスは自己紹介で聞いたイリスの性格とはまったく違う今の状況を見て
(優しくて、泣き虫でお人好し、かしら?…)
イリスに対する認識を変えた
確かにイリスは怒りっぽい性格のはず…
しかし修行で村を出てからは、ちょっとしたことでも涙腺が緩むし、めったに怒らなくなっていた
イリスの怒りっぽい、という性格は自分から言い出した訳ではない…
二人の兄弟への態度が、周りから見たらそう写ったのだろう
人から言われるうちに自分もそうだと思い込む…《本当の自分》を自分でも解っていなかった