第22章 赤い船
明けて翌日
今日も朝から船内をパタパタ走り回るイリスの姿があった
昨日と同じで仕事を手伝っている
しかしその側にシャンクスはいない
何故か?
勿論、二日酔いである
起き上がる事も難しい彼は、甲板を見渡せる位置に横たわっている
時おり通りかかるイリスに心配そうに声をかけられ、仲間達の部屋に戻って下さいとの言葉にも耳を貸さずにその場に居続けた
甲板で洗濯物を干すイリスの隣にはシャンクスに飲み勝ったグレイスがいた
こちらは二日酔いの「ふ」の字も出さずにピンピンして
「あれはイリスちゃんに声かけられたくてあんなところにいるんだからっ!心配するほど弱って無いわよ~」
と、シャンクスを心配するイリスに爽やかに答える
とてもシャンクスと同じ量の酒を飲んだとは思えないグレイス
イリスのみならず、赤髪海賊団の面々もその姿に驚嘆していた
グレイスが言ったとおり、シャンクスはイリスが声をかける度に少しづつ元気になっていた
しかし、隣を歩くグレイスが勝者の特権とばかりにチクチク嫌みを浴びせていく
「情けないわね~」
「あたしはまだまだ飲めたのになぁ~」
「二日酔い?何それ?美味しいの?」
なので、イリスが通るたびにシャンクスの身体は元気になっていったが、精神的にはマイナスになっていた
その日の夜
ようやく二日酔いから回復したシャンクスが、懲りずに宴を開こうと幹部とイリスが集まる場で話を持ちかける
流石に三日連続の宴にはベックマンも顔をしかめる
イリスも二日酔いのシャンクスを見ていた為、辞めた方がいいと言う、そして
「私達、明日出発しようと思ってるの。だから今夜はゆっくり………」
イリスはこの船が何処にも向かっていないと聞いた時から出発を考えていた
そして、宴がグレイスとシャンクスの身体と今後の旅に良くないとも感じたので丁重にお断りしようと言葉を紡ぐ…………が、
「なにぃ~!もう行っちまうのか?だったら尚更今夜は宴だろうが!」
送別会やるぞ~!と、イリスの言葉を遮ってシャンクスが高らかに叫んだ