第20章 無理難題からの絶対絶命
「えっ…………ちょっと待って…………」
「お前から言い出したんだろ?」
「でも…………っ」
「俺が一番欲しいのはこれしかない」
ローから示されたお礼の内容に困り果て、渋い顔になるイリス
反対にローは、ニヤニヤとこちらを見ながら
満足そうに口の端を吊り上げる
(もう一度船長さんとのやり取りを、ちゃんと思い返してみよう…………)
『それじゃあ、実験にでも協力して貰おうか』
『わかったわ!何手伝えばいいの?』
ローから出された条件に、イリスは深く考えもせずに返事をする
実は、いつも部屋に籠りきっているローが不思議でペンギンに何をしているのか聞いた事がある
大抵本を読んでいるか、薬を作っているかのどちらかだというペンギンの話を聞いてからイリスはローの薬作りに興味があった
たぶんその手伝いだろうと安易に考えていたイリスは二つ返事で快諾したのだが………
『お前の体の中で“ルーフス病”の弱毒化がどの様に行われているかの検証させろ』
『えっ……ええ……はぁ………』
またあの病気が出てくるとは思ってもいなかったイリスは多少驚いたが、船長さんがあの時から“ルーフス病”に興味があったのを思いだし納得した
『あの病気の治療法はわかっているが予防薬や特効薬の類いはまだ無い、それらができるまで実験につきあって貰う』
『えっ…………(できるまで?)』
『血液型は何だ?定期的に採血するから足りなくなったら困るだろ?』
『ええっ!(血も取るの?)』
『規則正しい食事と生活、外出禁止、ベポにも無闇に近づくなよ』
『ええぇ~!!!(条件多くない?)』
『何でもできるんだろ?』
淡々と語るローにもはや驚きの声しか出ない
たしかに薬には興味があったがそれは作る方にで、薬草の採取や調合の事だったのに………