第19章 ハートの海賊団にて・その2
~潜水艦の甲板~
「うぅ~、寒ぅい~やだな~」
晴れてはいるが、冷たい風が吹きつける甲板をせっせと掃除するイリス
周りにはこの船の船員、数名が同じように掃除をしていた
「俺達、北の海(ノース・ブルー)出身だから、寒いのには慣れっこだぜ?」
「むしろ懐かしいよな~」
「冬島が近いんじゃないかな?寒いのキライ?」
手の動きは休めず、答えてくれたものの、イリスの言葉に同意してくれる人はいなかった
「あんまり好きじゃないわ~!でも、ただ寒いより雪が降ってくれら嬉しいし、好きよ?」
昔から冬になると、エースとルフィと一緒に雪遊びをしたものだ
雪の帰り道が危険だからと、コルボ山の小屋に泊まらせてもらえた事も楽しい思い出
雪には良い思い出しかない
「雪か~、ペンギンどうだ?」
「ん?そうだな……海上では難しい、かな?」
それを聞いて、ちょっぴり残念そうに微笑むイリスだった
~数日前の潜水艦内~
イリスが目覚め、宴が開かれた次の日にグレイスが意識を取り戻した
ローと仲間達が回復の早さに驚くが、先に回復したイリスの体力が人並み以下である事と、グレイスの体が男で体力もそれに準じる事から、彼が早いのでは無く、イリスが遅いと言うことで話はまとまった
その時の彼女も、なんだか申し訳なさそうに微笑んでいた
早速、船内の清掃と消毒を指示するロー
長く潜水していた為、食料もそろそろ底をつきそうなことから、島に上陸する事となった
浮上し、次の島を目指す
~潜水艦の甲板~
船内の清掃、消毒は、ほぼ終わり、あとは甲板を残すのみ
潜水中、海水にさらされていた甲板は、例の”ルーフス病“の消毒の意味あいは無く、ただの掃除だった
ブラシを使い
溜まった海水を取り除く
あとは太陽が、乾燥と殺菌をしてくれる
まだ水が溜まった所がないか?と、船尾に向かって移動すると、意外なものが目に飛び込んできた
甲板にデンッ、と横たわる大きな白熊
気持ち良さそうにイビキをかいて寝ている
イリスは少し怯んだ後、白熊に向かっておもいっきり蹴りを放った
しかし、蹴りが当たったのは木箱
目標だった白熊は、船内への入口に立つ船長さんの傍らに移動していた
「てめぇ、どういうつもりだ!」