第17章 ハートの海賊団にて
まさかの大物に一同は、言葉を失う
なにせ、”あの”白ひげ海賊団なのだから
「えっ?まさか~そんな訳ないって!」
「ありえんだろ」
「冗談が過ぎるぜ?ペンギン………」
仲間からの疑いの声を遮り
「イリスさんに直接聞いたんッスよ」
と、ハッキリといい放つペンギン
固まる仲間達
チラリと船長を見ると、仏頂面を隠そうともせず手配書を凝視していた
「あッ!……あれか?ほら、有名人を自分の恋人だと勘違いしちゃうやつ?」
「妄想彼氏か?」
「それなら納得だな~」
ハハッ…と乾いた笑い、顔はひきつっている
船長の機嫌が心配な彼らは、希望を見いだせそうな理由を探すが、なんとも苦しい
既に船長ローの機嫌は最低である
「おい、ペンギン……話せ」
ドスのきいた声でペンギンを呼びつける
イリスから聞いたことを全て話せと言うことだろう
周囲が固唾を飲んで見守るなか、対峙した二人は話し出した
「いいんですか、俺が話しちゃって?イリスさんと話す機会が減りますよ」
「…………………」
「彼女、酒は弱くないけどうちの酒が強すぎたんですかね……饒舌になってました」
「…………………」
次も酒飲ませて話してもらえばいいッスよ、なんて気楽に言うペンギンにわずかな嫉妬を感じるロー
大体なんで、こいつが一番イリスと打ち解けてるんだ?部屋に呼びに行くのも、送りに行くのも、当たり前の用に、彼女の隣にいやがる
いや、こいつだからまだいいのか?シャチあたりには絶対まかせられん………
悶々とした思考がローの頭を駆け巡る
そんな船長の心うちを知ってか、知らずか
「イリスさん言ってましたよ?船長の黒髪が好きだって」
ペンギンの言葉に仏頂面の頬が少し緩んだ
わずかな変化に気づいたのは多分ペンギンだけだろう
緩んだ頬はすぐに戻り、いつもの無表情になる
そしてそのまま食堂を出ていった
(やれやれ、素直じゃないッスね~でも………)
食堂が緊張から開放され、いつもの賑やかさが戻る
そんな中、ペンギンは一人無言
(黒髪が好きなのは恋人と一緒だから、なんて言えないよな~)
はぁ~っと深いため息が落ちた