第15章 事件は会議室から
おじいちゃんとの会話の中で問題なのは、お父さんの話と、エースの事だろう
反政府組織《革命軍》の情報が海軍に少なからず漏れてしまった……
お父さんに迷惑がかかるかも………
知らずとは言え軽々しく口に出してしまったことをイリスは申し訳なく思う………そして落ち込む
(エースの話も問題だが、こっちは私が恥ずかしいだけだから………何とか我慢しよう…………)
「グレイス~どうしよう……お父さんに迷惑がかかっちゃう……お…怒られちゃうかも………」
そう言って抱きついてきたイリスは涙目で声も震えてかなり動揺していた
腕の中で小さく震えるイリスは小動物の様でとても可愛い
グレイスは、あるはずのない母性本能が芽生えたのかと錯覚してしまう程だった
自分の感情を疑いつつグレイスは、イリスの頭を撫でて子供をあやすように優しく語りかけた
「大丈夫よ~イリスちゃん………ドラゴンさんはそんなことで怒らないわ~イリスちゃんの喋った内容なんかで揺らぐような人でも、革命軍でも無いから!」
「ねっ?」と優しく微笑むグレイスはまるでお母さん
「………?」
イリスは小さな違和感を感じるも、今の体勢を見回し思わず顔が熱くなる
(動揺してたとはいえ自分から抱きつくなんて)
先ほどとはまた違った焦りを感じグレイスの腕の中から脱け出そうと、もぞもぞ動く
「ご………ゴメン…グレイス、いい大人が恥ずかしいわよね………」
顔を赤らめるイリスを上から見下ろしクスッ!と笑う
「貴女、自分が大人だと思ってるの?こんなに小さくて可愛らしいのに!」
逃がさないとばかりに腕に力を込めてグリグリ撫でまわす
「んなッ……私もう20歳よ?立派な大人だわ!!」
今度はグレイスの胸板を力一杯押しながら猛烈に抗議する
「あら~っこんなに泣き虫なのが大人なの?」
「………………ッ!」
沈んだ空気はどこへやら……
部屋には女子二人?の楽しそうな声が響き続けた
イリスは感じた小さな違和感の事などスッカリ忘れてしまっていた
グレイスが教えていない父の名を知っていた事も、革命軍について詳しい素振りを見せた事もイリスは気づかなかった……