第15章 事件は会議室から
その部屋には、大きな円状の机とそれを囲む椅子、正面には壁一面に映し出されたスクリーンがあった
部屋の椅子は、続々と集まる将校達で埋まっていく
しかし、海軍元帥センゴクの隣はまだ空いている
(あいつ…今日も遅刻か?)
腕を組んだまま入り口を睨みつけているセンゴクは、今日の議題に関わる人物の到着を待っていた
「遅い!何をしとるんだ、あいつは!」
すでに1人を除いて全員が集まっている
開始時刻を10分過ぎているが、その人が来る気配はまったくない
「あいつが来るまでの間、手元の資料に目を通しておいてくれ」
センゴクは部下を使い、部屋まで呼びに行かせる事にした
ペラペラと資料をめくる音だけが聞こえる会議室、そこ漸くやって来た彼こそ、センゴクが待っていた人物
「遅いぞ!ガープ!!何をしとった!」
ぶわっはっはっ、と豪快な笑い声と共に会議室に入って来たのは、モンキー・D・ガープ中将
右手にお茶、左手にせんべいを持ち、バリバリ食べながらセンゴクに近づく
「わしのせんべいタイムに会議なんぞ入れるからじゃい」
ぶわっはっはっと、また笑い、悪びれる様子も無くのしのしと歩く
「おぉ~おつるちゃん!久しぶりじゃのう……せんべい喰うか?」
「いらないよ、早く席に着きな!!」
途中つる中将に話しかけたりしながら、漸くセンゴクの隣である彼の席までやって来た
「ふざけおって、貴様!今日の議題がわかっているのか!?」
「ふんっ!わかっとるわい!」
目の前には2枚の手配書………彼の孫であるイリスとルフィが写っている
「それでは、これから会議をはじめ………」
ぷるぷるぷる……ぷるぷるぷる………
やっと会議を始められると思ったセンゴクの言葉を遮り、電伝虫の音が会議室に鳴り響く
ガチャ
「わしじゃ………」
懐から取り出した電伝虫に、何の躊躇も無く出たガープに驚き、そして怒りがこみ上げる
「貴様ッいい加減に………」
『ちょっとおじいちゃん!何よこれ~!!!』
センゴクの言葉はまた遮られ、電伝虫からは今日の議題の1人であるモンキー・D・イリスの声が鳴り響いた