第12章 嫌な再会
「ごめんなさい…いきなり訪ねて失礼でしたよね…」
あわてるイリスをみて申し訳なさそうに謝る家族の態度に更に恥ずかしくなる……
「いえいえ全然!私が悪いんですのよ」
オホホホホッ!と、なぜかお上品な口調になってしまったイリスにグレイスは可笑しくて笑いが止まらなかった………
少女は感謝と怪我の回復に効くという薬をくれた
「この羽根飾りを買って良かった♪」
どうもありがとう。
そう言われると胸が痛い…
それのせいで、こんなめにあったのに……
笑顔で部屋を出ていく少女に複雑な気持ちで手を振った
青空に白い雲、海原に舟
二人は今、海の上にいる…
惜しまれつつ島を出港してもう数日がたっただろうか…
「ねぇ~?今どこに向かってるの~?」
「近くの島よ~」
「いつ着くの~?」
「も…もうすぐよ~」
もう何度目のやり取りだろう…
そろそろ食糧も底をつきはじめる…
「もしかして遭難……?」
「……………」
目を反らして冷や汗だらだらのグレイス
「ち…ちが…」
「違わない!!」
やっぱりか…いつも自信満々なグレイスが口ごもるなんておかしいと思った
(どうしよ…)
舟にあるのは一日分の食糧と二人の私物、それと売れ残った羽根飾りだけ
(早く島を見つけなきゃ…)