第11章 看板娘
(キミハイクラカナ?)
もしかして私に懸かった懸賞金のことを聞いてるの!?(だったら5000万ベリーだけど)
捕まえに来たのかな…
目の前の男からはそんなかんじは全くしない、むしろイリスの顔やら体をじろじろ見回し、熱っぽい視線を向けてくる
(まだ私だとバレてないはず…だったら…)
もう1つの意味を考え背中にイヤな汗をかく
(ここは穏便に…)
王様、偉い人
面倒ごと、困る
怒らせないよう、断る
(よし!!そうしよう)
握ってきた手にそっと自分の手を添える
「ごめんなさい、こちらはすでに売却済ですわ」
ニコッと笑って、その手をゆっくり引き剥がす
が、王様は気にせずまた手を掴み撫で上げる
「おやおや…少々出遅れてしまったようだ」
「ええ!10年程遅かったですね」
笑顔で答え、またゆっくり手を引き剥がす
「「…………」」
しばらくお互いに無言でいると
「余を…からかっているのかな?」
その言葉に、後ろの側近達が一歩前に出る
まわりで様子を伺う人達もヒヤヒヤしている
グレイスは、というといつの間にか私の後ろから移動して、二人のやり取りをニヤニヤして見てた
「いいえ!! 全て本当のことですよ!?」
物怖じしないイリスの声がシンとした広場に響き、辺りに緊迫した空気が流れる
しかし、そこへ一人の青年が息を切らして駆け込んできた
「たっ大変だぁ~!海…海賊…海賊が街に!!」