第10章 初めての……
「なるほど、そうだったのね~」
フムフム頷きながら納得した様子だった
「私、恋人失格だわ…」
エースを忘れるなんて…
落ち込むイリスにグレイスはあっけらかんと言う
「バッカね~!そんな四六時中、相手のことばっかり考えてるなんてストーカーみたいよ?」
要は、そのエース君がイリスちゃんのことを忘れてたらやだな~ってことでしょ?
「もっとエース君を信じてあげなさい…そして自分に自信を持ちなさい!!」
グレイスは優しく言い聞かせた
実際イリスは自分の容姿がどれ程のものかを分かっていない
昨日も今日も、街を歩いてどれだけの男の視線を集めたことか…
後ろを歩いたグレイスは振り返った男達と何回も目があっていたのだ
だから、そんなイリスを捨てる男がいるとは思えなかった
「あっ…ありがとう…グレイス」
照れながら笑うイリスはとても可愛い…
(これならいける!!)
グレイスは小さくガッツポーズを作り確信した
「じゃあ、私の話をしていいかしら?」
「…………………………」
その話はイリスの興味を引くと同時に不安と羞恥を連れてきた