第10章 初めての……
「人の為に怒るやつは、怒りっぽいじゃ無くて優しいって言うんだよ」
それはわかってるさ…あいつは優しい、今思えば俺達にしか怒ってない…かも?ダダン達や村の奴等にはいつも笑顔だったような…
成る程、それは解ったが《泣き虫で強がり》の意味がわからん?
「俺、あいつが泣いてるのなんて片手も見たことないぜ?」
いつの間にか素直に聞き入るエースを微笑ましく思いながらイゾウは
「フフッ…そりゃかなりの強がりだ…」
その娘はきっと泣かないように怒ってるんだ、怒りで涙を隠してると言ってもいい
本当は怒ってる分だけ泣きたかったはずさ…
そうしなかったのはお前と弟が困ると思ったからじゃないのか?
お前らの気持ち(強くなって海に出る)が解るから反対して嫌われたくない…
それなら自分の気持ちを偽る方がいいってな……
いつの間にか、周りはしんっと静まりみんなイゾウの話しに注目していた
「でもそれがエースを大好きってのにどう繋がるんだ?」
誰かが手を上げて質問した、ここは学校か?
だか確かに気になる…
イゾウは酒を一口飲み、エースを見ながら
「そりゃ~長年こいつにバレない様に隠してたんだ、相当好きじゃなきゃできない事だろ?」
と、ニヤリとした