第5章 Episodes櫻井:優しさの裏と表
「いい加減にしろ!!!
授業ぐらい、まともに出席しろ!」
帰った途端に聞こえた怒鳴り声
それは、明らかに
生徒会長さんが大倉さんに向けて
言っている声
「単位足らないし、出席率低いし、
先生から留年、悪くて退学だって言ってる
俺だってなんとか頑張ってんのに…!
やっと帰って来て…ふざけんな!!!」
今にも殴りかかりそうな生徒会長さん
その目の前で呆れた顔で
はぁ、とため息をつく大倉さん
「別に留年も退学もどうでもええし
年下とつるむ気ないしな。
辞めてせいせいするってゆーかな」
「ふざけんな!!!」
そう言った生徒会長さんは、
ぎゅっと唇を噛み締めた。
「だったらお前になんとか出来るん
無理なくせにしゃしゃり出てなんなん
俺やって学校来て友達とかお前らと
楽しく笑いあってたいわ…!!!
出来へんからこんななってんねん!!!」
言い終わって、はぁ、
と息をつくと
大倉さんは目から涙を流していた。
それを見た櫻井さんは、
優しく抱きしめた
「…ええよな、お前らは。
なーんも考えず生きていけて」
大倉さんはそう吐き捨てて、
櫻井さんを押しのけ、
2階へ上がっていった