第3章 Episodes.相葉:笑顔の裏の崩壊
大きなお屋敷の前、
1人キャリーバッグと書類片手に立ってた。
「…おっきいな」
見上げた限り2階建てかな。
なんて、ちょっと感激しながらも
少しの不安が私の頭で渦巻く。
大丈夫。
前のようにならないように
出来る限り平然を装うんだ。
「寮母なんて出来るかなぁ…。」
書類には5人が住んでると書いてる。
この5人は特別らしくて、
学校で人気のある人達らしい。
誰かが教えてくれた。
人は人を傷つけて、
それを笑う人もいるって。
誰かが教えてくれた。
だから人との関係は、
浅はかなものにしときなさいって。
傷つけられたとき、
その人が大切なものだと
自分がもっと悲しむことなるから。
「…そこで、なにしてるの?」
声をかけられハッと我に返った。
振り向くと男の人が立ってて、
それも成門高校の制服を来ていた。
「……あ。寮母になる、泉森です…」
「あーあ。ニノが言ってた子か!
俺は相葉雅紀!よろしくね!いずみん!」
にっといたずらに笑う彼は、
すれ違うとき一瞬だけ
悲しげな表情になった。
「…や、あの、い、いずみんって…」
「いいじゃない、いずみん。
泉森だからいずみん。かっわいいー♪」
どこが。
「……まあ…いっか……」
震える手に力を込めて、
私は彼のあとを追い寮へ入った。