第6章 Episodes大倉:無愛想な理由
「39℃…、高熱だね」
櫻井さんが体温計を見て、
小さくため息をついた
熱でうなされてる大倉さんは、
汗がひどく苦しそう。
「たぶん最近は体調良くなかったと思う
そうじゃなきゃ、いきなり高熱出すなんて
説明がつかないよ。そう思わない?」
「はい。でも…どうしてここまで…」
「さあね、大倉は自分のことを
他人に深く知られたがらないから」
布団をかけ、2人部屋を出た。
大倉さんは櫻井さんが
看病すると言っていた
確かに大倉さんには謎が多い。
研究所にいつも居ると言ってた。
週に1度帰るか帰らないかぐらいの
頻度で寮に顔を出す大倉さん。
帰るといつも疲れきっていて、
眠ると死んだように深く眠った。
傷だらけの体をそのままにして、
突然姿を消すように
研究所へと帰っていくのだ。
裏切らんといてな、
前に聞いた大倉さんの言葉。
なんだかまた嫌な予感がした。