第8章 アイデアの種
近年、養子をもらう際に敢えて障害の持つ子を選ぶ家族が増えていた。
理由は同情心からもあったが、何より一番は扱いやすいからだった。
障害の持つ子はこの施設で育てられ、ある教育を受ける。
その教育とは、虐待などの非道なものではなく、"自分は一人では生きていけない"と言い聞かせることだった。
これによって彼らは純粋で素直な可愛い子たちになっていくのだ。
施設の従業員、言わば先生はここの子供たちを心から愛していた。
大事に育て、大事にしてくれそうな家族に引き渡す。
引き渡すとき、子供が嫌がればその契約は断っていた。
世間から見てもこの施設はとても評判が良かった。
その事を知っての事だろう、雪乃と出会い惹かれ、ただ当時育てることができなかった四宮は16才になったら迎えに来ると告げ、ここに預けていった。