第8章 アイデアの種
=回想=
数年前
北海道の山奥にひっそりとたたずむ児童施設
当時6歳の雪乃だった。
雪乃
(ん、あとはここを滑らかにして・・・)
子供1
(せんせー、雪乃ちゃん、また危ないの持ってるよー?)
子供の指さす方向には大きな氷をピックで砕く雪乃の姿があった。
施設の先生
「いいのよー。あの子はもうここの子じゃないから。」
子供2
「えー?そうなのー?」
先生
「うん、新しいお母さんとお父さん、要らないんだって。」
子供1
「えー!そんなの変だよ!!僕たちはもらわれないと死んじゃうんでしょう?」
先生
「そうだね、死んじゃうね。」
ここは国で指定された、"特別な子"が集められる施設だった。
ここにくる子は皆何かしらの障害を持つ。
歩けない子、目の見えない子、声の出ない子・・・
さまざまな子がいるなかで、雪乃だけは異質だった。
どこが悪いわけでもない、知能発達が遅れているわけでもない。
ただ、"冷たかった"のだ。