第8章 アイデアの種
雪乃は二人が自分をそっちのけで言いを始めたことに安堵した。
タクミが嫌いなわけではない、むしろ好意を持ってるくらいだ。
だが今の雪乃はそれどころじゃなかった。
雪乃
(なんだ・・・?生臭さにはもう慣れたはずなのに、頭がくらくらして気持ち悪い・・・。部屋のクーラーはきいているのに・・・)
少し火照ったような顔をする雪乃
本人は未だ気づいてはいないのだろう。
雪乃はこの学園に編入してから、周りに気を使い続けた。
常に視野を広く持ち、周りの変化に敏感だった。
それを約1か月やり遂げた。
それまで周りに人がいる生活では無かった雪乃にとって、それはかなり大きなストレスとなっていたのだ。
雪乃
(駄目だ、気を緩めるな。緩めてしまったら、僕は・・・)
そっと近くにあったベンチに腰掛け、目を閉じる。