第7章 山を彩る衣
タクミ
(キミは自分が"プロ"だと名乗ったんだ・・・ならば!)
生徒
((!?))
タクミは持参していた両手持ち包丁を構えた。
見たこともない形の刃物に驚きを隠せずにいる周りの生徒は自分の作業を忘れ、タクミの調理に見入っていた。
生徒1
「何だありゃあ!?」
タクミ
(同じプロとして、負けるわけにはいかないな!!)
乾
(あれは・・・"メッザルーナ"イタリア語で半月を意味する名を持つ、イタリアで使われる両手持ちの包丁・・・)
タクミ
「行くぜ。」
そしてタクミはまな板の上を滑らせるようにその包丁を動かし、食材を細かく切り刻んでいった。
生徒2
「食材があっという間にペースト状に!?」
生徒3
「あんな特殊な包丁を使いこなしてやがる!」
イサミ
「合鴨胸肉焼き上がりまであと7分ー。」
タクミ
「よし!その間にサルサを仕上げるぞ!」
イサミ
「おっけー、兄ちゃん。」
タクミ
「トリターレ完了まであと10秒。」
イサミ
「了解ー。こっちも水洗い済みー。」
テンポのいい会話を交わしながら作業を進める二人
途端、トレ、ドゥーエ、ウーノ!と掛け声を合わせ、タクミからイサミにあの包丁が渡される。
否、渡されるというよりは流れてゆくというほうが表現があっているようだ。
そしてイサミはタクミ同様、その包丁で食材を切り刻む
それからは会話は一切なく、流れるように進んだ。
調理の音だけがその場所に響き・・・
乾
「一番乗りですね。」
タクミとイサミの料理は完成した。