第5章 摩擦と選良
それを見届けたお兄ちゃんはその生徒に背を向け再びステージに戻ろうとする。
もうその顔にあのどす黒いオーラは微塵もなかった。
四宮「お疲れ学生さん!」
すると近くの生徒が声を上げた。
生徒2「四宮シェフだ・・・!!仏プルスポール勲章を受章した最初の日本人!!」
・・・・そうなの!?
僕そんなの知らない!聞いてない!!
え、まって、お兄ちゃんって実はすっごい偉い人!?
それに続くように別の生徒がステージ上にいる人について話なにやらしていたが、僕の耳には届かない。
田所「すごい・・・!毎月のように雑誌に載る人ばっかり・・・」
え!?雑誌!?
そんなに有名なの!?
僕世間知らずにもほどがあるってくらいに何も知らないぞ!?
一人で混乱していると急に誰かに頭をなでられた。
懐かしい感触に見上げてみると・・・
四宮「相変わらず小さいな。見つけるのに時間がかかった。」
小さく笑顔をみせるお兄ちゃんがいた。
その柔らかい笑顔に生徒だけでなくステージ上の卒業生までもが驚いていたが、そんなの僕には関係ない。
僕は今それどころではないんだ。
僕はお兄ちゃんの手からするりと抜け不満たっぷりの顔で言った。
雪乃「こんなすごい人知らない!人違いです!!」