第17章 誰も寝てはならぬ
翌日、目を覚ました雪乃は部屋を見回したが、そこにはすでに四宮の姿はなく、テーブルの上に朝食と置手紙があった。
"自分が伊武崎に言ったからバレたとか、んなこと考えて自分を責めるならぶっ殺すぞ。もうこれで終わった。解決だ。これからまた頑張ろう。俺も三ツ星っていう新しい目標ができたしな。何があろうとお前には俺がいる。だから、本気で進め。お前ならできるはずだ。
追伸
朝はしっかり食え。"
それは乱暴でありながら優しい、四宮の愛情の塊であった。
雪乃はそれを読み終えると静かに笑った。
雪乃
(まったく、お兄ちゃんには何も隠し事できないな。)
そして用意された朝食の中にはあの水ようかんがあった。
それを一口食べると、雪乃はあるとこを決意した。
雪乃
(僕もしっかり過去やこの体質に向き合う。もう隠さないで行こう。そして恩返しするよ。お兄ちゃん、僕は貴方と同じ景色を見たい。そこに行きたいんだ。
僕は、ここで第一席をとる!)
その想いは雪乃が固く閉じていた料理の世界への扉を開けるきっかけになるのだった。