第17章 誰も寝てはならぬ
そして、先ほどの二人は、髪を乾かし一息ついたところであった。
四宮は改まって正座し、雪乃に向き直る。
雪乃
「な、なに、どうしたの?」
いきなりの真面目な空気に驚く雪乃にお構いなしに四宮は土下座をした。
四宮
「悪い、悪かった!お前が伊武崎とやらに話していた時、実は俺近くにいて、話全部聞いた。隠して言えなかったこと知ったんだ。そのことも踏まえ、すべてのことに謝りたい。ごめんな。」
その言動に驚愕する雪乃はただ呆然とするとこしかできなかった。
雪乃
(知ら・・・れた・・・?今まで秘密にできてたのに?なぜ?)
するとその様子をみた四宮は雪乃を抱きしめた。
四宮
(くそっ、体温がいつもより冷たい・・・。だいぶ動揺させたか。)
「落ち着け。ただ、謝りたかった、それだけなんだ。こんな簡単に許されるとこじゃないことぐらいわかってる。でも・・・」
震える雪乃はやっとも思いで口を開く
雪乃
「・・・・許してるとかじゃないんだ。僕は、お兄ちゃんには感謝しかしてないから。それ以外に思うことはないんだ。だから・・・・お兄ちゃんも知らなくて、よかった・・・のに・・・・。」
そして、大きな涙を流して叫んだ。
雪乃
「僕の我慢はなんだったんだ!!僕はお兄ちゃんにこんな黒い部分を知られたくなかっただけなのに!!なんで!?」
(・・・僕が伊武崎君に話したから?人に甘えて、自分の弱さを出してしまったから?言わなきゃよかった。頼らなきゃよかった。いや、違う。頼ってはいけなかったんだ。僕は一人でいなくてはならないのに。次第に制御できるようになった体温、初めてできた居場所と呼べるものに気持ちが緩んでいた!!)