第15章 その面影
そんな言葉は二人にはまったく届かなくて・・・
地下室では楽しそうに盛り上がり、話す卒業生たち
田所
(嘘みたい・・・失敗ばかりで自信が持てなくて、学園の落ちこぼれだった私の料理を・・・いつも雑誌で見てあこがれた人たちが美味しいって言ってくれた・・・)
それに感動の涙を流すの田所をみた幸平は静かににっこりと笑ったのだった。
堂島
「よし・・・それでは、判定に移る。このコインが票変わりだ。」
そう言った堂島の手には銀貨が握られていた。
堂島
「審査員3名に1枚ずつ、四宮と田所君・・・より美味だった側に票を投じてくれ!」
堂島の目の前の机にはお皿が対極に置かれた。
右には四宮が立ち、左には田所と幸平が立った。
そして動き出す卒業生たち。
目をつぶり、祈る田所。
コインがお皿に置かれる音だけが室内に響く。
音がやみ、田所はそっと目を開けた。
そして目の当たりにしたその結果に絶望の色しか見えなくなったのだった。