第15章 その面影
四宮
「へぇ、おもしれぇ。俺のルセットに、"9種類の野菜のテリーヌ"にケチつけようってわけだな。」
田所
「や、ああの!私は・・・私なりのルセットを見てほしいと・・・思ってですね・・・。」
威嚇する四宮にうろたえる田所
関守
「ふむ・・・色の異なるパテが7つ・・・虹のごときストライプを作ったわけか・・・」
ドナード
「では、お手並み拝見と行きましょう。」
そうして卒業生は次々と田所のテリーヌを口に運んだ。
田所は今までに受けてきた学園の試験でのE判定、苦い思い出を思い起こしていた。
不安と恐怖に埋もれる田所を安心させたのは
ドナード
「美味いっ!!!」
たったひとつの言葉だった。
関守
「パテにジャガイモ、ニンジン、ズッキーニなどを練りこみ7色の層を作り、各層の野菜それぞれの旨さを活かすよう調理されている。よくこの仕事をあの時間内でこなしたものだ・・・ソースは2種類、甘酸っぱいすだちとしそ中心の清涼感のあるグリーンハーブソース!」
ドナード
「へぇ、テリーヌをすだちやシソで食べさせるなんて、これは面白い発想だね。」
乾
「んむー!子おばしくソテーしたズッキーニとハーブソースの組み合わせ・・・さわやかで絶品です!!」
水原
「すだちとじんわり甘いトマトもいい相性!」
次々と意見を発する卒業生たちは皆笑顔で、そのことに田所は何とも言えない喜びと達成感を感じていた。