第11章 至上のルセット
その後暇だった雪乃はアリスに何かやってと無茶ぶりを受け、予備に用意して使わなかった氷の塊で手乗りサイズの鶴を作った。
アリス
「なななにこれ!!!!すごい!すごすぎるわ!!今にも飛び立ちそう!!」
あまりの感動に騒ぎ出すアリス
が、黒木場は内心それ以上に感動していた。
表情には全く出さなかったが・・・
黒木場
「これ、くれ。」
雪乃の手のひらにあるそれをひょいと持ち上げ、離さなかった。
アリス
「もう!リョウ君!!それは私のですー!」
不満そうに頬を膨らませるアリス
雪乃は自分の氷細工をみてくれる人に出会えて嬉しかった。
そして二人がそれを取り合う様子に笑いをこらえることができず・・・
雪乃
「ふ、ふふふ・・・あははっ・・・何やってるんだ二人とも。子供みたいに。」
クスクス笑う雪乃をみてキョトンとした顔をした二人はつられて笑ってしまう。
アリス
「それならケンカしないように今度もう1羽作ってくださる?」
雪乃
「あぁ、もちろん。」
黒木場
「気にいった。」
そう言って雪乃の頭をなでた黒木場は小さく微笑んでいた。
アリス
「あー!雪乃ずるいわ!リョウ君はめったに微笑まないのよ!!」
雪乃
「そ、そうか。」
雪乃がもう一度黒木場に目線を送ると、すでにいつもの眠たそうな顔に戻っていた。
雪乃
「なんか、全然仲良くできそうだ。」
アリス
「え!それはよかった。私のことはアリスでいいわ。」
雪乃
「わかったよ、アリス。」
黒木場
「リョウでいい。」
雪乃
「あぁ、僕はあまり名前呼びをしないから少し違和感があるが・・・そうさせてもらおう。」
こうして三人はこの短時間でかなり仲良くなったのだった。