第10章 過去の秘密
僕は嬉しかった。
お兄ちゃんが散々調べてもでてこなかった親の話が聞けると思うと、胸が躍った。
どんな親だったのだろう。
なぜ僕を捨てたのだろう。
その時の僕が知っている親の情報は、お兄ちゃんから告げられたものだけ。
ただ、捨てられたのだと・・・。
恨みはしなかった。
おかげで僕はお兄ちゃんに出会えたのだから。
ただ、どんな人だったのかを知りたかっただけなんだ。
それだけだったのに、彼女から出た言葉は僕の思考を停止させるには十分だった。
「私は貴方の生みの親を知っています。」
「貴方の親は私の、私の兄が殺しました・・・。」