第10章 過去の秘密
だが、お兄ちゃんはこれまでの人と違った。
「・・・・お前、親いねぇだろ?人生の迷子か?」
悪態をつくお兄ちゃんだったが、それでも目線の高さは僕と同じになるようにしゃがんでくれていた。
僕はまずいとおもって逃げようとすると、誘拐された((
いきなり抱えられて、車に乗せられた僕は焦ったが、泣かなかった。
お兄ちゃんは僕がこんな目にあっても泣かないものだから、不思議に思いそのまま自分の泊まるホテルに連れて行った。
その日から、僕とお兄ちゃんの生活は始まった。
お兄ちゃんは仕事の合間に僕のことについて調べてくれた。
そのこともあって、それまで僕を「ガキ」と呼んでいたお兄ちゃんは僕に名前を教えろと言ってきた。
僕は答えた。
「どの時の名前?」