第10章 過去の秘密
だから僕は人に見つかりにくい空港にばれないように住み着いた。
有りがたいことに、世の中には変態が多い。
わざと困った素振りをしてうろつけばだいたいおじさんに声を掛けられる。
「お嬢さん、迷子かい?」
そう、僕はまだ5歳ではあったが身売りをした。
といっても、行為をしたりはしない、ただ"いろんな"写真を撮られたり、"ちょっとした"お願いを聞いたりしてた。
これが案外うまくいき、食べ物やお風呂に困ることはなかった。
そして数か月くらいたったある日、僕はお兄ちゃんと出会う。
その日も僕は食べ物がほしくて迷子のふりをしていた。
そこにお兄ちゃんから声がかけられる。
「なんだオマエ、迷子か?」
僕はかかった!と思いいつものように甘えた声で言ったんだ。
「僕、お腹が減ったんだ・・・。」
一人称を「僕」というのはここで染みついたんだ。
僕っ子のほうが人が捕まりやすかったからね。