第10章 過去の秘密
その夫婦は僕の低体温を知らずに引き取った。
案の定、化け物として僕は気味悪がれ、捨てられた。
当時僕は3歳だった。
場所はどこかの駅のトイレ。
僕は清掃員さんに見つけられ、すぐに前とは違う施設に送られた。
が、僕はまたそこでも化け物として扱われた。
4歳の時、僕にはまた新しい家族ができた。
引き取った夫婦は僕の低体温を知って、それでも尚ほしいと言ってくれた。
幸せな家族だった。
その夫婦は僕を引き取った3ヵ月後に本当の子供を預かった。
それでも彼らは僕を手放さず、大事にしてくれた。
が、人生そううまくはいかないもので、僕は事件を起こしてしまう。
ある嵐の夜、僕は雷が怖くて泣いていたら、子供がお腹にいる母親は一緒に寝ようと言ってくれた。
僕は喜んでそれに甘えた。
甘えてしまった。
次の日、お腹の子は死んでいた。
死因は原因不明の凍死だった。
母親を観た病院の先生は僕の事を知らなかったから、何も気づかなかったが、その夫婦はすぐに原因がわかった。
その夫婦は僕を怒らなかった。
逆に自分たちを攻めたのだ。
「この子が"そういう子"だというのは知っていて引き取ったんだ。すぐに自分の子が出来るとわかっていれば、引き取りはしなかったのに。」
その夫婦は日々嘆きつづけ、僕が5歳の時に自殺した。
事実上捨てられた僕は行き場がなくなった。
もう僕を引き取ってくれる施設はなかったのだ。