🍊レンジ物語番外編・とある夫婦の△関係┏(┏^o^)┓🍊
第2章 阿部さんの任されたクラスは…??
キーンコーンカーンコーン
60分後……
授業の終わりを知らせるチャイムがなる。
「えー?もー終わりぃ?」
その音に不満気に口を尖らす健先生。
教壇にある机に置いていた愛用らしい
白い体に真っ赤な目のウサギの人形を持ち上げた。
《もっと可愛いせーと達とオハナシしたいよぅ~ 》
その人形を口元に当て人形の手を自分でジタバタさせると、先程私にしたように裏声を出し始めた。
相変わらずする事が可愛い気がする。
しかし、
生徒達はそれを見てほぼ同時に
「うぜえ」と冷めた目をして言った。
そのあんまりな態度に少し同情するが
正直、毎回保健体育の時間にあんな卑猥な話(授業中の生徒達の反応でわかった)をされたら
こんな態度もとりたくなるかもな……。
私も少しそう思ってしまった。
《皆冷たい……。僕泣いちゃう~。》
え~ん。
冷めた目で見つめる生徒達を他所に、
今度は人形の目を手で覆い泣き真似をし始めた健先生。
おーうさちゃん可哀想にねぇ~?
えーんえーん。
そのやり取りを見た生徒は、段々あほらしくなったのか
毎回の事で慣れてしまったのかそれぞれの休み時間を過ごし始めた。
その後も暫く泣き真似を続けていた健先生だったが
全く変わらない生徒の反応に次第に演技を止めて
「構ってくれてもいいじゃない…。いいもん。
もうかえろ……」
阿部君、行くよ。
言葉の割に大して落ち込んだ様子のない健先生は
教壇の端にいた私を手招きして呼んだ。
その顔は最初にあった時と同じ笑顔だった。
なんなんだ……この人は。
Mなのか?なんて失礼なことを頭の隅で考えながら
ハイと一言返して先に廊下に消えた健先生の後を追った。