第3章 目の前に現れた猫と紫の青年
学校の事も忘れ、
慌てて私は引き寄せられるように
猫が通っただろう道をひたすら走る。
見失いかけても、
まるで自分をまってるかの
様に少し先で止まってる猫。
それに疑問を持ちながらも
足は仔猫がかける方へ。
何分位走っていただろう。
やっと仔猫が足を止めた時は
私は汗で全身びっしょりと
ぬれ、息は荒れていた。
はぁ…。はぁ…。
暫く、
両膝に手を置き、荒れた息を整える。
二分後、荒れた息も
少し楽になり、曲げていた背中を戻した。
目の前には、例の朝の仔猫。
それから小さな祠のような建物が奉られている。
その周りを、
ぐるっと長くて太い木々が囲み
まるでこの祠を隠しているかの様な
風景が広がっていた。
祠を眺めていると
気づけば猫はまた私の足元へ。
その甘えて来る猫の頭を撫でながら
これからどうするか悩む。
こんな場所知らないし…。
行きは猫を追いかけるのに
無我夢中だったため、
大丈夫だったが
帰りかたが分からない。
〔どうしよう…〕
困り果てていると
大人しく撫でられていた猫が
また、しかし行きとは違い
ゆっくりと祠の方へ歩き始めた。
少し離れて、
にゃあと
こっちを振り返り鳴く。
まるでついて来いと言ってるように。
その後、
私の足はその猫を追うように
一歩ずつ祠に向かい…
やがて祠の目の前まで辿り着いた。
そこには
猫に連れてこられて近づいた祠の前に
仰向けで地面で倒れている紫色の髪の青年がいて
驚いている私をよそに猫はその青年の傍により
眠る彼の顔をぺろぺろ舐めると
にゃあ、と一鳴きし、彼を守るように
その場から動かなくなった。
菜央は気づけば
自然と彼と猫の傍に寄っていた。