第37章 最終節:第一訓
時間にするとほんの数秒ほどの短い時間だったのかもしれない
だけど俺にはその時間がとても長く感じられた
そんな時間を打ち破るように総悟が口を開いた
「暫くさんに触れられそうにないんでたんまり充電してるんでさぁ」
そう言って抱き締める力を強めたかと思うと、いきなりパッと体を放した
そして
「見回りいってきまさぁ」
と背を向け行ってしまった
俺は何が何だか分からず遠のく総悟の背中を見送った
『暫くって見回りの間だけだろ?大袈裟だなぁ』
未だドクンドクンと大きな音を立て続ける胸を抑えつけ、一つ深呼吸をした
『さて。早くこれを近藤さんのとこに持って行かなきゃ』
あ……
書類は俺と総悟の間で揉みくちゃにされグシャグシャだった…
そういえば総悟も近藤さんの部屋から出てきたような
珍しいな
総悟が一人で近藤さんの部屋から出てくるなんて
任務ならトシも呼ばれるはずだが、生憎うちの副長様は自室で大量の書類と格闘中
総悟、一体なんの用事だったんだろーー