第37章 最終節:第一訓
「あれ?さん、髪の毛とっちゃったんですかィ?」
近藤さんの部屋へ書類を持って行く途中、正面から歩いてくる総悟に声をかけられた
『そりゃあつけたくてつけてた訳じゃないからね』
「でも似合ってやしたぜィ。出会った頃のさんみたいでさぁ」
手の届くところまで来た総悟は俺の短くなった髪の毛先を弄ぶ
『そういえば昔は長かったね。トシが切った時に一緒に切ってもらったんだよね』
毛先を弄んでた手を俺の頭の上ににポンと置いた
「最近背も少し伸びたんじゃねぇですかィ?」
『わかる⁉︎そうなんだよね〜。なんと3㎝も伸びたんだよ。でもよく気付いたね?』
「さんのことならなんでもわかりまさぁ」
そう言って優しく微笑んだ
ドキッ
いつもとは違う総悟の表情に心臓は高鳴った
『そ、総悟?どうかし…たっ⁉︎』
そのまま頭を強く引かれ引き寄せられる
そして、逃れようともがく体を抑えつけるように腕を回されギュッと抱き締められた
『ちょっ…⁉︎総悟っ…⁉︎』