第36章 スナックすまいる
「おい、総悟。やめてやれ。嫌がってんだろソイツ。それに見てるこっちが恥ずかしい」
トシが助け船を出してくれたおかげで胸のモヤモヤを奥へ追いやる事ができた
「アンタに言われる筋合いないですがねィ。見たくねぇならテメェがどっか行きやがれ土方コノヤロー」
「ッチ。ったく、しょーがねー」
席を移動しようと立ち上がるトシの着物の袖をガシッと掴んだ
イヤイヤ!行かないで!と半ば涙目で必死に訴えた
すると頬を赤く染め、俺から視線を逸らしながらその場に座り直し新しい煙草を咥えた
俺はトシの煙草に火を灯そうとライターを差し出すと
ガシッとその手を掴まれた
「おい、お前。名は?」
な、名前⁉︎
名前なんて考えて無かったよ!
えーと、えーと…
その時、視界に白いペンギンが映り込んだ
えっ…今のって…
『…エリ…』
ザベス⁉︎
なんでここにいんの⁉︎
アレがここにいるということは……
「エリか。いい名だな。」
いや、違うから⁉︎
まぁいいいや、なんでも
すべてがどうでもよくなってきて半ば遠い目をしかけた時
グイッと腰を引かれた
「テメェいつまで手ェ握ってるつもりですかィ?マヨ臭くなっちまうだろうが土方コノヤロー」
「マヨ臭いっ何だよっ⁉︎マヨネーズは臭くねぇし、手からもそんな臭いしねぇよ!そっちこそドSがうつっちまうだろっ⁉︎」
今度はトシが俺の肩を抱き自分の胸に押し当てる