第30章 紅桜篇:高杉の思い出
今日もアイツに負けた
寂れた神社に身を隠す
ここなら見つからないだろうと思ったが
『晋ちゃんみーっけ』
あっさり見つかった
「馴れ馴れしく呼ぶな。アイツの差し金か?」
『銀にぃは強いからそんなの必要ないよ。ほら傷見せて』
「触るな!」
『じゃあ触らないから自分で手当てしなよ。傷を放っておくのはよくないよ!』
仕方なく自分で手当てしようとするが、案外うまくいかない
待ってましたとばかりに、貸してと手際よく手当てをする
コイツは、俺が道場破りに行く度、銀時に負けて傷だらけになった俺を見つけては手当てをしにくる
変なやつだ
「お前またあの寺子屋でボロ負けしてきたのかよー。かっこ悪ー」
士族のバカ息子共がからかいにやってきた
俺は無視を決め込むつもりだったが
がそいつらのリーダー的なやつの顔面にパンチをくらわした
『晋ちゃんを悪く言うな!何度でも立ち向かってくる晋ちゃんはお前らなんかよりずっと強くてカッコいいんだからな!』
やつらは逃げていき、はパンパンと手を払い勝ち誇ったようにニッコリ笑った
この時、俺のことを心配し、俺の為に怒ってくれる存在がいることを少し嬉しく思った
本当に変なやつだーー