第29章 紅桜篇:俺はただ壊すだけだ
俺は碧緑の瞳に吸い寄せられるようゆっくりと近づいた
『晋ちゃん……』
包帯に覆われた目にそっと触れる
『ゴメンね、一番辛い時に一緒にいられなくて……この十年、みんなたくさん悩んで自分の歩む道を見つけたんだね。だから俺も俺が正しいと思う道を選ぶよ』
晋ちゃんに触れたその手で力強く拳を握った
その時、船がもう一隻上空に現れ、天人達が一斉に攻めてき、小太郎に襲いかかる
『小太郎‼︎……晋ちゃんっ⁉︎』
小太郎の援護に向かおうとしたが、腕を引かれ、後ろから抱き寄せられる
「近寄ってきたかと思えば、あっさり離れていっちまう。まさに蝶みてぇなやつだな、ククッ。………またな」
チュッ
俺の耳に軽く口付けを落とした
『なっ…⁉︎何すんだよっ⁉︎』
自分でも顔が赤くなるのがわかるくらいに火照っている
晋ちゃんはククッと笑いながら、階段を上がって行ったーー