第29章 紅桜篇:俺はただ壊すだけだ
「ヅラァ、俺はなテメェらが国の為だ仲間の為だと剣をとった時もそんなもんどうでもよかったのさ。考えてもみろ。その握った剣、そいつの使い方を俺たちに教えてくれたのは誰だ?俺たちに武士の道、生きる術それらを教えてくれたのは誰だ?
俺たちに生きる世界を与えてくれたのは紛れもねぇ松陽先生だ。なのにこの世界は俺たちからあの人を奪った。だったら俺たちはこの世界に喧嘩を売るしかあるめぇ。
あの人を奪ったこの世界をぶっ潰すしかあるめぇよ」
「高杉、俺とて何度この世界を更地に変えてやろうと思ったか数え切れん。
だけどアイツがそれに耐えているのに、
一番この世界を恨んでる奴が耐えているのに俺たちに何ができる?
俺にはもうこの国は壊せん。
壊すにはここには大事なものが出来過ぎた。
今のお前は抜いた刃を鞘に収める期を失い、ただイタズラに破壊を楽しむ獣にしか見えん。この国が気に食わぬなら壊せばいい。だが江戸に住まう人を巻き込みかねん貴様のやり方は黙って見てられぬ」
『そうだよ晋ちゃん。犠牲を出さずにこの国を変える方法がきっとある筈だよ‼︎松陽先生もきっとそれを願ってる』
「言ったはずだ俺はただ壊すだけだ、この腐った世界を」