第25章 紅桜篇:潜入
『高杉晋助』
俺は暗闇から静かに姿を現した
「今度はあのじゃじゃ馬姫よりはおしとやかなかぐや姫が降りてきてくれたみてぇだなぁ、。ククッ。俺と一緒に来る決心がついたのかぁ?」
『聞きたいことがあって来た』
ほぉう、とこちらを向きニタリと笑う
『俺の名は坂田で間違いないか?』
「あぁ、間違いないねぇよ。お前は銀時の弟で坂田だ」
嘘はついてなさそうだな
やっぱり銀さんが俺の兄さんなのか……
『じゃあ俺は……攘夷志士だったのか…?』
「そうだ。俺たちは攘夷戦争を一緒に戦った。白銀の蝶。お前がその二本の刀で敵を斬る様はまさに蝶が舞うようだとついた異名だ」
『白銀の…蝶……』
「お前の舞う姿は、強く気高く美しく、しかし繊細でどこか儚げで見るものを魅了していた。なぁ、また俺の隣で舞ってくれよぉ。一緒にこの世界をぶっ壊そう」
『断る‼︎確かに昔は攘夷志士だったかもしれない。でも今の俺は真選組副長補佐官のだ‼︎この世界には大切なものが沢山あるんだ。それを壊そうってんならお前の好きにはさせない‼︎』
「………お前も、牙をなくしちまったのかよ」
高杉は俺の背後に視線を移した
しまった‼︎仲間か⁉︎
そう思ったが遅かった
パァン
『これは……麻酔弾…?』
やむなくその場に倒れ込んだ
「残念だったなぁ。この十年どれほどお前を探したか……やっと見つけたんだ。逃がしゃしねぇよ。お前は俺のものだ。お前はもう囚われの蝶だ」ーー