第16章 非番の過ごし方:長い一日が終わる時
トシは目つきは悪いし、口も悪いし、ニコチン中毒だし、マヨラーだけど、いつも他人を気遣ってフォローに回っている
大切な人の為なら自分だって犠牲にできる優しい人
そんなトシが大好きだ
もちろんドSだが甘えん坊な総悟も
変態だけど心の温かい近藤さんのことも
同じくらい大好きだ
ずっとみんなとこうして一緒にいられたらいいな
そんなことをぼんやり考えていると急に右肩に重みを感じた
トシが俺の肩に頭を預け、眠ってしまっていた
『よっぽど疲れてたんだね』
俺はトシを起こさないようにそーっと肩を抜いた
そして押入れから布団出し、なんとかトシを布団まで引っ張っていき寝かせた
『これでよし‼︎』
電気を消して部屋を出ようとした時
グイッ
と腕を引っ張られ、体勢を崩しトシの上に倒れこんだ
かなり体重をかけてしまったので大丈夫かと思ったが、幸いトシは目を覚まさなかった
すると、トシが俺の体をギュッと抱きしめてきた
『ト、トシ⁉︎』
反応は無くスヤスヤと寝息が聞こえるだけだ
そして俺はそのままガッチリホールドされてしまった
『くそっ、抜け出せない…‼︎』
俺を抱き枕代わりにして気持ちよく眠るトシの顔を見て、諦めてここで眠ることにした
こうして俺の非番の日の一日は幕を降ろした
だがこの時、俺の大切なこの平穏な時間が
音を立てて崩れ始めていることを
まだ知らないーー