第16章 非番の過ごし方:長い一日が終わる時
お風呂あがりにトシの部屋の前を通るとまだ明かりがついていたので、俺はそーっと襖を開けた
『トシー?まだ仕事してるの?』
書類に走らせるペンを止めこちらに向いた顔はげっそりしていた
「あぁ、か。あのバカの始末書がたんまり溜まってやがるからな」
トシは書類に視線を戻し、再びペンを走らせた
『俺も手伝うよ‼︎』
「いーって。お前は今日非番なんだ。早く休め」
「トーシ」
俺は自身満々に時計を指した
時計の針は0時を越えていた
『俺の非番はもう終わったよ。だから手伝わせて?』
「ったく、屁理屈言いやがって。休むことも大切だぞ?」
その言葉そっくりそのままお返しします、と言いながらいつも自分が使っている机を引っ張り出し隣に並べた
ありがとな、と優しい笑みをこぼす
鬼の副長と恐れられる土方十四郎のこんな優しい笑みを見た人はこの真選組にはいないだろう