第14章 非番の過ごし方:公園にて
総悟はむくりと起き上がり、俺をヒョイっと持ち上げ自分の膝の上に置き俺の腰に手を回した
「どーですかィ?座る方の気分は?」
総悟が悪戯っぽく笑う
確かに昔はこうやって総悟をよく膝の上に乗せてたが、大人になってすることではないだろう
『やっ、やめろ‼︎降ろせよ‼︎恥ずかしいだろっ⁉︎』
必死にもがいてみるがビクともしない
「もうちょっとだけこのままでいさせて下せィ。充電終わったらちゃんと見回り行くんで」
「充電するほど働いてないだろー?……ったく」
俺は解くことを諦めて大人しく総悟の腕の中に収まった
しかし、総悟ってこんなに力強かったっけ
それに俺をすっぽり包み込んでしまう腕
大きくなったな
あれからもう十年だもんな
みんな何も言わないが、俺の時間だけあの頃のまま止まっていた
「さん?」
いきなり静かになったのを不審に思ったのだろう
『ほら‼︎もう十分充電しただろ⁉︎見回り行ってこいよ?』
「へいへい、わかりやした。……続きはまた今度ってことで」
息がかかるほどの距離でささやいた
『うわっ⁉︎耳元で喋るな‼︎それに続きって何だよ‼︎』
総悟はうしろ手で手を振り行ってしまった
俺は息がかかって熱くなった耳を抑えながら総悟の後ろ姿を見送ったーー