第1章 プロローグ
『……ん…』
真紅の瞳に光が差す
体を起き上がらせ辺りを見回す
ここは……?
「気がつきやしかィ?」
「体の方は大丈夫ですか?」
栗色の髪に蘇芳色の瞳のよく似た顔が二つ
きっと姉弟なのだろう
なぜか〝きょうだい〟という言葉に胸がチクリと痛んだ
「君、名前は?」
今度はゴリラが話しかけてきた
『…喋れるゴリラ……?』
つい思ったことが口をついて出てしまった
「ちょっ⁉︎ゴリラって俺のことォ⁉︎ゴリラじゃないから‼︎近藤勲っていう歴とした人間だからァ‼︎」
『スミマセン…』
「それで、君の名前は?」
名前……分からない……何も覚えていない……
思い出せるのは夢で聞いた〝〟と呼ぶ声……
『………』
ポツリと呟く
それが俺の名前なのかな?