第6章 真選組局長
『ところで近藤さん。少し相談があるんですが』
「どうした?」
『俺の役職のことなんですが、副長補佐官なんて大層な役職じゃなくて、小姓とかにしてもらえませんか?俺は書類関係の事務的な仕事しかしてないのに副長補佐官だなんてちょっと荷が重いというか…』
俺はあれから刀を抜いていない
だが真選組にいる以上刀をふれないでは話にならない
なので無理のない程度で稽古にも参加し、木刀くらいは振れるようになったのだが、まだ真剣を振ることができない
なので副長の補佐だなんて務まるはずがない
「しかしこれはトシの希望でもあるからなぁ。それに剣の腕がどうこうじゃなくて自分の背中を任せるのは信頼できるくんがいいと思ってのことなんじゃないか?それに俺も、トシのことを大切に思ってくれているくんにこそ副長補佐官をやってもらいたいと思うぞ」
近藤さんはニカッと笑う
そこまで言われたらやるしかないじゃないか
くっそー、明日から稽古の量増やすか
しかし、何故か三人とも俺に稽古つけてくれない
総悟に至っては、必要ありやせん、なんて言う始末
俺がうんうん唸っていると、ポンと頭に手を置かれた
「くん、強さというのは剣の腕だけじゃない。
護りたいと思う気持ちが強ければ強いほど強くなれるんだ。
刀は自分を護るもんじゃない、自分の魂を護るもんなんだ」
〝敵を斬るためではない 弱き己を斬るために
己を護るのではない 己の魂を護るために〟
誰に言われた言葉かはわからない
俺の中の何かが胸を熱くする
何故だろ涙が止まらないーー